昨夜店を閉める間際に少し酔っ払った胸の
がっしり厚い外国のお客さんが滑り込んできた。
片言の英語で
「タバコは吸えるか?」と。
身振り手振りを交えよくよく聞けばブルガリアからやって来た船乗りで、
3ヶ月前に日本女性と結婚したそうである。
彼女が折ってくれた?折り鶴を撫でながら、
精悍な頬を緩めて何度もジャパン、ブルガリア、ナンバーワンと言い、
少しずつウィスキーを傾け、タバコを大事そうに根元まで吸っている。
YouTubeのブルガリアンボイスを検索して、店で流すと満面の笑みで喜んでくれた。
… 二十歳のころ日本より遥かに物価の高いスイスの酒場で財布と相談しながら、
地元の人達に親切にもてなして貰った暖かさを不意に思い出していた。
〆にブルガリアの国歌を検索して流すと、
彼は胸に手をあて力の限り大きな声で熱く斉唱してくれた。

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