2013年6月26日水曜日

うつむいてるJapan


 
いつもは男前な呑み方をして帰っていく女性客が唐突に口を開いた。
「ホントに生意気だけど言ってもいいかしら…」
「??? どうぞどうぞ。」
「この店、常連さんにはオイシイけど、一見さんには入り辛いのよ。 例えばね…」
と言いながら弾むように店先へ出て行く。
「仕事帰りのサラリーマンはね、基本男も女も疲れてるから うつむいて歩いてるの。」
と店の前を行ったり来たりしながら劇画チックに 実演してくれる。
「今どき目線が水平より上の人なんて相当奇特な人よ。」

 … 確かに歩いている人たちの目線を追うと、
サラリーマンだけでなく、 歩きながらスマホとにらめっこしてる若者を含め、
ほぼうつむき加減である。

「 ウリの情報がね、目の高さより上にあり過ぎてお客さんの視線を捕まえてないから素通りされてしまうの。
(…途中のマシンガントークは忘れたので省略。)
…とにかくうつむいてる人たちに顔を上げて貰う工夫が必要 なの。」

… 異議は無かった。って言うか、
5分後の未来が分からないノリにワクワクする。

「ホントに生意気なんだけど」
と繰り返しながら興に乗った彼女はその後も思いつく限り店のレイアウトにメスを入れてくれた。
「私は自分で雑貨を作ってデパートとかに卸して回って2年目のまだまだ駆け出しなんだけどね、
沢山ダメ出しされながら気付いた事の一つはね、
安い品物は腰から下、高いものは上に置くの…あ、それと私の夢は情熱大陸に出ること。」

…以前映画で観たココシヤネルの若かりし頃とどこか重なる人である。
翌朝ホームセンターへ行き、また余計なものを買ってしまいつつ、
お客捕獲用の材料を仕入れて、日がな店先の工作をしてみた。
作ってるはしから一見さんが店に吸い込まれていく…彼女の才気に乾杯。


2013年6月22日土曜日

自分の羅針盤


伏見に敬愛してやまない先達がおられる…自称二歳の自由人。
成り行きでこのカフェをやる事になった際、
内装について真っ先に思い浮かんだのは彼の書。
ご本人は書など学んだことは無いとおっしゃられるが、
書になじみの薄い私には、今のところ王羲之と彼の書以外にズキンと痺れた経験はない。
… はさて置き、
今世紀のキーワードはこの先世界は一体どうなるのだろうという
予測不能の「不安」ではないかと思う。
それでも私達の今を支え得る言葉とは何か。

 突然クイズの第2弾。
次の写真に根拠は無くても頷きやすいその回答の一つが書かれている。
はてさて何と読むのでせう?

 
 
答えは、日が沈んで、月が上り、また日が昇ると書いて明日と読む。
店内奥の壁に掛けられたこの書を眺めながら一杯呑む…
人生は中々味わい深い。

2013年6月21日金曜日

ピアニカを抱えて来たお客さんからのお裾分け

 
 

雨にも負けずまるで繁盛店のような?ランチタイムがひと段落し、ホッとひと息。
おし寄せる睡魔にあと数秒で降参しよかというところで、
ピアニカに花束、その他紙袋を両手に抱え、
飄々としたたたずまいの女性が店に入って来た。
ほうじ茶オレを注文してから
「わたし千本今出川のカドで11代お茶売ってるとこの嫁やねん」
と自己紹介?した後、矢継ぎ早に何故そこ迄?と思うほど私的な質問責めが始まる。
なすがまま状態で応答している内に段々目が覚めてきたと思いきや、
「これあげるわ」とクイズのネタ的?野菜を置いてさっと帰って行った。
 
…ということで突然クイズです。この写真の物体は何でせう?
答えはまた彼女が来店した時に聞いておきます
…ウソです。まな板上の物体がその答えであります。
…この愛は何パーセント?
 
 

2013年6月20日木曜日

食材と対話しながら作るメニュー

店のメニューは基本暇を持て余してるのも何なので、口を休めず ( ほとんどGNPに貢献しない妄想話をしながら )手を動かして仕込んでおいたものを、お玉でついだり、包丁で切り分けるだけのものが多い。気が向くとその時食べたいモノを適当に試して板書したりもするが、混雑時に手数が多い事に後で気づくと、好評でもめんどくさくなり、まず値上げしてみたり、それでも注文が続くようなら、まあね、京都のおバンザイよろしく旬のものですから…とか適当なことを言って、お客様への配慮を忘れず?朗らかにメニューから消していく。今回添付した写真は、広島の牧場で草をはんで育てた牛のミルクと生クリームにバターで作った濃厚カルボナーラ。発案時にはノリノリで検索侍をし、イタリア産の特大サイズのチーズを買ってしまったので、後で面倒くさいことに気づいたが既に手遅れ、それを使い切るまで作らねばならない。店の掟は、「言い出しっぺが責任を持ってやること」なので、日々その場のノリで言わなきゃ良かったと思うこと多し。最近混雑時にカルボナーラのオーダーが入ると、3回に一回くらい料理長用輔にしれっと押し付けている。…作ってもらう側なら、至極真っ当で美味な一品だけれど、お蔵入りメニュー最右翼予備軍である。

日本一のトレーナー?

 

宮崎さんという、
村の子供達や、日本新記録に最も近い?短距離走者のコーチをしている
ユニークな常連さんがいる。
店長を筆頭にあまりにも物ぐさなスタッフの面々を見ていて
慈愛の精神が湧き起こったのか?
ある日突然片っ端から全員バキバキほぐしてくれた。
お客としてのソフトな物腰からは想像だにしない、
言葉優しくでも動きはハードボイルドな仕事人である。
特に二重あごで猫背のスタッフA子(仮名)は重症だったらしく、
背筋の矯正だけでは終わらず、床に転がされ、股割きをされギャーギャー わめきまくり、
通行人や店内をのぞいていく人がそそくさと去っていく…
でも面白いからそのまま続行してもらう。
そして宮崎的マッサージを終え、
すくっと立ち上がったA子の二重あごは見事に消え去り、
まるでヘップバーンかとも思える…少し盛りました…ドッキュンポンの体型に変身!
いきなりフェロモン全開のいい女になっていた。
「生活習慣を改めなければ、2週間でモトノモクアミですよ。
だから私の仕事が成り立つんですけれど。ふふふ。」
という宮崎さんのアドバイスもA子には右から左で、
店が終わると同時に速攻で夜の町に飛び出して行った。

もちろん2週間後、モテモテ?酒浸りの日々をおくったA子は、
二重あごに猫背の不健康体型に逆戻りし、
宮崎さんの来店を心待ちにしているが、韓流ドラマ的すれ違いの日々が続いている。







(写真はイメージです)

2013年6月18日火曜日

6月18日 大人のカキ氷始めました

朝方、開演3分前に間に合えば良しノリで何とか
カキ氷を売るしつらえが間に合った。
スタッフがホッとしている風景をブログ用にiPadで
撮りながら、カフェを他人事に眺めてみると…ビジュ
アル的にもはや何がウリの店なのか??のチンドン
屋のようである。だがここまで来たら照れは無い。
トコトン目立ってナンボでいくのだ…夏なのだ。
明け方に仕上がったカキ氷のシロップは3種類。
広島の牧草で育てた牛のミルクと、奄美の黒糖を煮詰
めた練乳 ( 優しいキャラメル味 )450円。無農薬の
瀬戸内レモン 400円。ギネス ( 黒ビール ) 蜜 450円。
どれも素材にストライクな大人のカキ氷である。
人間として生まれたからには是非一度お試しあれ。

かき氷事始め

先日常連さんに『時代はかき氷よ!』と熱くすすめられ、??のまま何故か店頭でかき氷を出す事になっていた。客に迎合する…もとい、お客様の声に丁寧に耳を傾けるのが当店のポリシー。かき氷ネタに初めの内スタッフはあまり食いつきは良くなかったけれど、いざ準備を始めてみると、うる覚えの中島みゆきの歌など口ずさみながら、各々の役割にハマっていた。時代はかき氷…?

2013年6月13日木曜日

深夜バースデイ

昨夜の閉店間際、可愛らしい女の子が、
『あの~まだいいですか?』と店にそろり入って来た。
『どうぞ』と言うと、ホッとした顔をし、
『わたし、あと数分で二十歳になるんですけど、独りで寂しくて…』
『じゃあ、じゃあ、誕生日会やね。まずはお酒でギネスビールに、夜中なのでカロリー考えて、小さめのケーキにシチリアのカンノーロでいいかな ?』
と聞くとコクリと頷く。

午前零時になり、ハッピバースデイを歌って祝う。
『二十歳になったら何が変わるんだろうと思ってたけど、まだ実感がわかなくて、何が変わるんですかね?』
『…う~ん、そやな~ あとは老けるだけ。』
慌ててスタッフの大塚さんが、ハッピバースデイを歌い直す。
笑いながら彼女が『他には?』と聞くので、
『 …顔とオッパイが垂れるだけ。』
あわわと大塚さんがハッピバースデイをまたまた歌う。
その後も私のセクハラ発言山盛りの祝いの言葉に彼女は嬉しそうに頷きながら
『また来ます。』と元気な背中で帰って言った。

2013年6月9日日曜日

ルーマニアからの客人

昨夜店を閉める間際に少し酔っ払った胸の
がっしり厚い外国のお客さんが滑り込んできた。

片言の英語で
「タバコは吸えるか?」と。

身振り手振りを交えよくよく聞けばブルガリアからやって来た船乗りで、
3ヶ月前に日本女性と結婚したそうである。

彼女が折ってくれた?折り鶴を撫でながら、
精悍な頬を緩めて何度もジャパン、ブルガリア、ナンバーワンと言い、
少しずつウィスキーを傾け、タバコを大事そうに根元まで吸っている。

YouTubeのブルガリアンボイスを検索して、店で流すと満面の笑みで喜んでくれた。


… 二十歳のころ日本より遥かに物価の高いスイスの酒場で財布と相談しながら、
地元の人達に親切にもてなして貰った暖かさを不意に思い出していた。

〆にブルガリアの国歌を検索して流すと、
彼は胸に手をあて力の限り大きな声で熱く斉唱してくれた。

瀬戸内レモンケーキ

広島の知人が時々送ってきてくれるノーワックスのレモン…
枝についているトゲの刺さった部分が黒ずんでいるけれど、見た目を気にしなければ安心して丸ごと食べられる。

店では瀬戸内レモンゼリーと、レモンパン( コッペパンぽい)、ドリンクで瀬戸内レモンジンジャーとしてお出している。

先日ふと子供の頃に食べたレモンパンの香りを思い出し、デパートで高級なのを買って食べてみたのだが、何かいまいち嬉しくない味…自分の舌が老化し過ぎたのか?

いやと思い直し、店に戻ってケーキ担当の用輔に作って貰った。


… 旨い!それから店頭で瀬戸内レモンケーキ一つ200円で売り出し始め、4日連続で完売している。

… 赤ちゃん連れのお母さんが発売当日から二日連続で買ってくれた。
「祖母が入院していて、お土産に持って行ったら、香料の入っていないレモンケーキを本当に久しぶりに食べて美味しかった。もう一度食べたいと言われて来ました。」

と。これ以上の報酬があろうか。

「もうお金入りませんから持ってって下さい。」
「イヤイヤイヤ。」
「イエイエ。」


お店を開いて二ヶ月あまり、魂が喜ぶ日々を味わえるようになってきた。